「介護」カテゴリーアーカイブ

ヤングケアラー支援法成立 国・自治体の努力明確化

日常的に家族の世話や介護を担う子ども「ヤングケアラー」への支援強化を盛り込んだ改正子ども・若者育成支援推進法が6月5日、参院本会議で与党の賛成多数で可決、成立した。国や自治体が18歳以上も含めたヤングケアラー支援に努めることを明確化した。
改正法は引きこもりなど年令を問わず「社会生活に困難を有する子ども・若者」に対して、国や自治体が支援に努めることを規定。新たにヤングケアラーもその対象として明記した。

ツクイとパナソニック ICT活用 次世代デイサービスで協業

デイサービス事業所数大手のツクイ(本社:横浜市)とパナソニックコネクト(本社:東京都中央区)は6月4日、高齢化の進展を見据え、カメラ映像を活用した次世代デイサービスの実現に向けて共創を開始すると発表した。
第1段階として、2024年7月に開所するツクイ三郷早稲田(所在地:埼玉県三郷市)とツクイ市川宮久保(所在地:千葉県市川市)のデイサービスの2事業所内に、クラウド型現場映像活用サービス「Cameleo」、顔認証クラウドサービス「KPASクラウド」などカメラや顔認証などを使ったシステムを導入し、運用を始める。第2段階(2025年度予定)では、応用環境として基礎環境で導入したカメラ映像を解析する様々な可視化サービスを導入していく。

日本生命 ニチイHDの買収完了 約2,100億円で全株取得

日本生命は6月3日、国内介護大手のニチイ学館を傘下に持つニチイホールディングス(HD)のほぼ全株式を取得し、買収が完了したと発表した。ニチイHDの全株式を保有する米ベインキャピタル系ファンドが保有していた発行済株式の99.6%を取得した。買収金額はおよそ2,100億円になる見通し。
生命保険会社による異業種の大手企業の買収は異例で、日本生命にとって経営の大きな転換点となる。日本生命はこれにより、介護、医療事務、保育などの事業をグループの中核事業に育成し、収益の多角化を図る。

大阪市7月から試行「こども誰でも通園制度」利用受付開始

大阪市は6月3日から、7月から市内9つの区の17の保育施設で試行的に実施される「こども誰でも通園制度」の利用申請の受け付けを開始した。対象は市内に住む生後6カ月から3歳未満の未就園児で、1人につき月10時間まで利用できる、利用料は1時間あたり300円だが、施設によっては給食やおやつなどの実費分が上乗せされる場合があるという。
こども誰でも通園制度は、保護者が働いていなくても、子どもを保育所などに預けられる事業制度で、令和8年度から全国の自治体で導入される予定。

神奈川特区で介護支援ロボ実用化 センサーが排尿感知

神奈川県は5月29日、相模原市など10市2町を対象とした「さがみロボット産業特区」で、実証実験などの支援をしてきた介護支援ロボットが実用化され、販売開始されることになったと発表した。センサーで利用者の排尿の状態を感知し、おむつ交換やトイレ誘導のタイミングが分かりやすくなる。経験の浅い人でも排泄ケアをサポートでき、ヘルパーなど介護現場の負担軽減や人手不足対策につながる。
開発したのは、大人用紙おむつなどを手掛ける光洋(所在地:横浜市)で、商品名は「おむつナビ」。専用の尿とりパッドに発信機(クリップ)を装着し、パソコンやタブレットに排尿の状態を表示する。価格は1セット43万750円(税別)。別途年間7万5,000円のメンテナンス代が必要。月額10万円からのレンタルプランも用意する。同県には購入価格の3分の1を補助するロボット導入支援補助金制度がある。

仏壇のはせがわ 終活を死後事務までパックでサポート

仏壇・仏具事業を主に手掛けるはせがわ(東京本社:東京都文京区、福岡本社:福岡市博多区)は5月28日、全国136店舗(2024年5月現在)で6月1日から、顧客の終活をサポートするサービス「あんしん終活パック」の提供を開始すると発表した。墓じまいや葬儀の生前契約、遺言の作成、相続手続きの代行、遺品整理を含めた死後事務委任など、生前整理から亡くなった後の葬儀供養、その他諸手続きをサポートする。

マイナビ ベトナムの介護事業の「WeCare247」へ出資

マイナビ(本社:東京都千代田区)は5月28日、ベトナムで介護人材と被介護者のマッチングサービスを手掛けるWeCare247 Joint Stock Company(本社:ベトナム・ホーチミン市、以下、WeCare247)へ出資したと発表した。WeCare247の質の高いサービスの提供をもとに、被介護者およびその家族への支援を充実。マイナビはWeCare247への投資と成長サポートを通して、人々の生活の質の向上を目指す。
ベトナムでは急速に高齢化が進んでおり、人口1億人のうち65歳以上の割合は10%を超え、2039年までに15%以上に達すると予測されている。その一方で、同国では病院・病床数が不足していることから、家族が介護する慣習があり。被介護者およびその家族にとって”介護”は重い課題となっている。

サイバーダイン マレーシア・ペラ州施設にHAL大型納入へ

産業・医療用装着型ロボット「HAL」を手掛けるサイバーダイン(本社:茨城県つくば市)は5月27日、マレーシアのスティーブン・シム・チー・キオン人的資源省ら一行が23日、同社を訪れ、2024年末にペラ州で開業予定の社会保障機構(SOCSO)のリハビリセンター向けにHALの大型購入オファがあったと発表した。
建設中の国立神経ロボットサイバニクス・リハビリテーションセンターにはHAL50セット(65台)が納入予定で、単一施設への導入数としては世界最大という。SOCSOは2018年に東南アジアで初めてHALを導入。2024年3月末時点で、マレーシア国内12施設で114台のHALが稼働している。

認知症の原因物質を無毒化する触媒を開発 東大など

東京大学の金井求教授らは、アルツハイマー病の原因物質とされるタンパク質の「アミロイドベータ(Aβ)」を無毒化する触媒を開発した。
一連の流れは次の通りだ。研究チームが開発した化合物「LEV」は、注射で投与すると血管を通じて脳内に届く。体外から分子に光を当てると、アミロイドベータを酸化する反応が生じ、塊状のアミロイドベータがほぐれる。すると、免疫細胞のミクログリアがアミロイドベータを除去する働きを促す仕組み。マウスで効果を確認した。今後、臨床応用を目指す。
これらの成果をまとめた論文を国際科学誌「アドバンスト・サイエンス」に掲載した。

「レカネマブ」韓国でアルツハイマー病治療剤で承認取得

エーザイ(本社:東京都文京区)とバイオジェン・インク(本社:米マサチューセッツ州ケンブリッジ)は5月27日、ヒト化ヒト可溶性アミロイドβ(Aβ)凝集体モノクローナル抗体「レケンビ(R)」(一般名:レカネマブ)について、「成人のアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害および軽度の認知症の治療の治療」を適応として、韓国食品医薬品安全処(MFDS)より承認を取得したと発表した。今回の承認は米国、日本、中国に次いで4カ国目となる。
韓国における65歳以上の認知症患者は2021年時点で約90万人と推計され、65歳以上の10人に1人が認知症、5人に1人は軽度認知障害(MCI)といわれている。