「介護」カテゴリーアーカイブ

訪問介護事業者 25年1〜6月倒産45件で最多 中規模にも波及

東京商工リサーチのまとめによると、2025年1〜6月の訪問介護事業者の倒産件数が、全国で45件に上り、この時期として最多となった。倒産は零細事業者だけでなく、中規模事業者にも広がりつつあり、業況が深刻化している。
この主要因はヘルパー不足と昨年度行われた介護報酬の引き下げにある。倒産件数を規模別に見ると、従業員10人未満の小規模な事業所が36件、従業員10人以上50人未満の事業所8件、従業員50人以上の事業所1件だった。

「あしなが育英会」創設 会長の玉井義臣氏死去, 90歳

災害や病気などで親をなくした子どもたちを支援する「あしなが育英会」の創設者で、会長の玉井義臣氏が7月5日、都内の病院で敗血症性ショックで亡くなった。90歳だった。
玉井氏は大阪出身。大学卒業後、経済ジャーナリストとしてデビュー。母親を交通事故で亡くしたことをきっかけに、交通評論家として交通事故被害者の救済に向けた取り組みを開始。1969年に「交通遺児育英会」、1993年に「あしなが育英会」を立ち上げ、1998年から会長を務めていた。1969年以降、玉井氏の支援で高校や大学などに進学した遺児は11万人余りに上るとされる。

透析患者の終末期医療「緩和ケア」充実の必要性訴える

日本透析医学会の集会の一環として、重い腎臓病の患者が受ける人工透析について、終末期の医療のあり方を考える講演会が大阪市内で開かれた。講師は、透析を受けていた夫を看取った経験があり、その体験をもとにした著書を出しているノンフィクション作家の堀川惠子さん。
堀川さんの夫は腎臓の難病のため38歳で透析を始め、60歳で亡くなるまで、20年以上その生活を続けていた。そして、終末期は治療による強い痛みに苦しんでいたことなど、当時の闘病の様子を説明。その間、堀川さんは痛みを和らげる「緩和ケア」を受けられる病棟に夫を入れてほしいと要望したものの、がん患者ではないことを理由に断られた経験があったことを明かした。
そのため、当時の日々を「夫にとっては生きるために受ける透析が、透析を受けるために生きているようだった」と述懐する。そこでたどり着いたのが透析患者にも終末期医療としての「緩和ケア」の必要性だ。
堀川さんは、「当時の夫には終末期の着地点が全く用意されず、自分らしい命を全うすることは極めて困難だった」と語り、国内に34万人余りに上るとされる透析患者の緩和ケアの充実の必要性を訴えている。

厚労省 生活保護減額分の追加支給検討へ 最大数千億円

厚生労働省は6月27日、生活保護基準の引き下げを違法とした最高裁判決を受け、減額分を追加支給する検討に入った。立法措置が必要との指摘もある。全国で同様の訴訟が起こされていいるほか、原告以外の該当者もおり、これらを含めた受給者全員を対象にすると、追加支給に必要な金額は最大で数千億円規模に上るとみられる。

大阪・泉佐野市議会「赤ちゃんポスト」設置へ 予算成立

大阪府泉佐野市議会で6月25日、親が育てられない子どもを匿名で預かる、いわゆる「赤ちゃんポスト」の設置に向けて、調査費用を盛り込んだ予算案が、全会一致で可決された。泉佐野市は2026年度のスタートを目指すとしている。自治体主導で赤ちゃんポストの設置に向けて動き出すのは全国で初めて。
泉佐野市は市内の病院で①親が育てられない子どもを匿名で預かる、いわゆる「赤ちゃんポスト」の設置②妊婦が医療機関以外に身元を明かさずに出産する「内密出産」の導入ーーを検討しており、設置に向けた調査費用などおよそ800万円を盛り込んだ補正予算案を可決した。

大東建託,ケアパートナー 外国介護人材招聘・育成で協定

大東建託グループ、大東建託リーシング(本社:東京都港区)とケアパートナー(本社:東京都港区)は6月19日、人材サービスを提供するBINAWAN GROUP(本社:インドネシア・ジャカルタ)および外国人支援コンサルティングを行う森興産(本社:大阪市中央区)との間で18日、「インドネシア人介護人材招聘および育成に関する協定書」を締結したと発表した。
BINAWAN GROUPはインドネシア国内での人材募集や教育を担当し、大東建託リーシングは日本での住まい手配、ケアパートナーはインドネシア人材の介護施設での積極採用、実務指導とキャリア形成を支援、森興産はプロジェクト全体の運営支援と総合的なサポートを提供する。各社はそれぞれの強みとリソースを活用し、協力関係を構築していく。
ケアパートナーは現在約3,000人の従業員を擁し、全国で159の介護事業所を展開しているが、今後、住宅型有料老人ホームを中心に新たに140施設の開設を計画。2029年までに外国人材も新たに400人を採用する予定。

「消費者白書」認知症高齢者のトラブル相談9,618件で最多

今年の「消費者白書」によると、2024年1年間に全国の消費者生活センターなどに寄せられた相談件数はおよそ90万件で、前年より1万4,000件余り減少した。ただ、このうち認知症などで十分な判断ができない高齢者のトラブル相談は9,618件に上り、この10年間で最多となった。
相談内容は「訪問販売」と「電話勧誘」によるものが46%余りを占めており、相談のほとんどは家族など本人以外から寄せられているという。内容は不要な契約をさせられるなどのトラブルで、周囲の”見守り”が必要だと指摘している。

介護福祉士, 国家試験”不合格でもOK”特例適用8,000人超え

介護現場の人手不足を背景に、介護分野の国家資格「介護福祉士」試験に不合格でも、国が指定する養成施設を卒業すれば取得できる「特例措置」の適用者が2017年以降、外国人を中心に8,000人を超えた。
特例措置は、言葉の問題などで試験の合格率が低い外国人が働けるようにするための措置。経過措置として、養成施設卒業者は国家試験が不合格でも5年間は介護福祉士として登録でき、介護現場で働き続ければ期限の定めのない介護福祉士になれる特例が導入された。特例は当初2021年度までだったが、2026年度の卒業者まで対象に延長されている。
社会福祉振興・試験センターによると、特例の適用者数は2017年度は年110人だったが、2020年度以降は年1,000人台で推移し、2024年度まで累計8,033人に上る。日本介護福祉士養成施設協会の調査では、2023年度までの7年間に養成施設を卒業した外国人留学生8,346人のうち、卒業時に国家試験に合格したのは3,284人、残る5,000人超が特例措置の適用を受ける対象だった。

認知症の診断後 介護サービスを受けるまで平均1年3カ月

厚生労働省の研究班のまとめによると、認知症と診断された後、デイサービスなど介護保険サービスを受けるまで平均1年3カ月ほどかかることが分かった。8年前に行った前回調査よりおよそ2カ月短縮された。ただ、研究班は診断後の”空白期間”が長くなると、症状がより進行する恐れがあるとして、早期に支援に結びつける体制や情報提供が急務だと指摘している。
調査は1月に、全国の認知症疾患医療センターなどを通じて、認知症と診断された家族およそ130人余りに行い、速報値としてまとめた。

量研機構が脳画像解析 中高年うつ病に認知症たんぱく質関与

量子科学技術研究開発機構(QST)などは、40歳以上でうつ病などの気分障害を発症した患者の脳に、認知症の原因の一つになるたんぱく質が蓄積していることがあると明らかにした。同機構が開発した薬剤を使って撮影した脳画像を解析した。
認知症には「タウ」や「アミロイドβ(ベータ)」などたんぱく質が脳にたまることで発症するものがある。近年、認知症の前段階として、中高年でうつ病や双極性障害などの気分障害を発症する可能性が指摘されている。ただ、気分障害の発症とたんぱく質蓄積の関係について調べるのは難しかった。