「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

12社が「自動車用先端SoC技術研究組合」設立 技術結集

自動車メーカー・電装部品メーカー・半導体関連企業12社は12月28日、高性能デジタル半導体(System on Chip、以下、SoC)の車載化研究開発を行う「自動車用先端SoC技術研究組合」(本部所在地:名古屋市西区、Advanced SoC Research for Automotive、以下、ASRA)を12月1日に設立したと発表した。今後、チップレット技術を適用した自動車用SoCを研究開発し、2030年以降の量産車へ搭載することを目指す。
参画企業はSUBARU、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、マツダ、デンソー、パナソニックオートモーティブシステムズ、ソシオネクスト、日本ケイデンス・デザイン・システムズ、日本シノプス、ミライズテクノロジーズ、ルネサスエレクトロニクスの12社。
日本国内の自動車・電装部品・半導体の技術力と経験知を結集し、世界に先駆けた技術研究集団として国内外・産官学の連携をともに進め」ていく。

JX石油開発 NEDOと地下水素製造技術実証で委託契約

JX石油開発(本社:東京都千代田区)は12月26日、同社の地下水素製造技術に関する取り組みが、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募する「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業」の実証要件適合性等調査に採択され、調査委託契約を締結したと発表した。これは、枯渇油田に取り残された炭化水素を原料として地中の化学反応で水素を製造する一方、同時に副生されてしまうCO2の多くをそのまま地中に留めることで、クリーンな水素を回収するという新たな水素製造方法がNEDOの国際実証事業として成立し得るかを検証するもの。

IHI 天然ガス熱分解による水素製造試作機での実験開始

IHIは12月25日、横浜事業所で12月から天然ガス熱分解による水素製造試作機の実験を開始すると発表した。水素製造量10kg/日相当の運用を開始し、商用化に向けた様々な基礎データの取得を始める。
この水素製造技術は、天然ガスを加熱し水素と固体の炭素に分解する技術。従来の水蒸気改質による水素製造技術に比べ、単位当たりの水素を生成するために必要なエネルギーが約4割削減できるという。また、炭素は90%以上を固体で回収されるため、CO2排出量の大幅な削減が期待される。触媒には鉄鉱石を使用し、鉄鉱石のハンドリングにはIHIが長年保有してきた流動層技術を活用することで、最大100トン/日の水素製造を目指す。

シスメックス スタートアップiPS企業を子会社化

シスメックスは12月21日、京都大学発のスタートアップのメガカリオン(所在地:京都市)を連結子会社化したと発表した。メガカリオンはヒトのiPS細胞から血小板を生産する技術を持つ。シスメックスなどば2017年にメガカリオンに出資し、直近の出資比率は0.9%だった。今回、12月20日付で株式を追加取得し80.9%まで引き上げた。出資額は非公表。
シスメックスは高品質かつ安全性の高いiPS細胞由来の血小板製剤の事業化を加速する。今後、製造工程を自動化するシステムの開発などを共同で推進し、再生細胞医療の確立を目指す。

ネイチャー「ことしの10人」に大阪大学・林克彦教授も

英国の科学雑誌「ネイチャー」は12月13日、科学の分野で重要な役割を果たした研究者の「ことしの10人」を発表した。このうち日本から生殖遺伝学が専門の、大阪大学の林克彦教授が選ばれた。林教授のグループはオスのマウスのiPS細胞から卵子をつくり、別のマウスの精子と受精させて子どもを誕生させることに世界で初めて成功したことが高く評価された。

ノーリツ 水素100%燃焼の家庭用給湯器開発 切り替え可

湯まわり設備メーカー、ノーリツ(本社:神戸市)は12月14日、燃焼した際にCO2を排出しない水素100%を燃料とし、安全に安定した出湯が可能な家庭用給湯器を開発したと発表した。2025年以降の実用化を見据え、現行の家庭用給湯器の最大能力24号に対応。導入時のインフラを考慮し、従来ガスから水素への切り替えも可能としている。

日本郵船 JERA, レゾナックと燃料アンモニア船舶で協働

日本郵船(本社:東京都千代田区)は12月13日、船舶のゼロエミッション化を目指し、世界初となる燃料アンモニアの船舶供給で、JERA(本社:東京都中央区)およびレゾナック(本社:東京都港区)と共同検討することで契約を締結したと発表した。現在アンモニア燃料エンジンを搭載した船舶へアンモニアを補給した事例はなく、この共同検討によって海運分野における燃料アンモニアの普及促進が期待される。

コマツとGM ダンプトラック向け水素燃料電池を共同開発

コマツ(本社:東京都港区)とゼネラル・モーターズ(GM、所在地:米国ミシガン州)は12月13日、コマツの大型ダンプトラック930E向け水素燃料電池モジュールを共同開発することで契約締結したと発表した。両社は2020年代中ごろに米国アリゾナ州にあるコマツのアリゾナ試験場でGMのハイドロテック水素燃料電池を搭載したプロトタイプの試験を計画している。このプロトタイプは2メガワット以上のハイドロテック水素燃料電池を搭載する予定。

空飛ぶクルマ 万博での商用運航へ有人でテストフライト

2025年の大阪・関西万博での国内初の商用運航を目指している「空飛ぶクルマ」の有人飛行によるテストフライトが、大阪市此花区の万博会場に近いヘリポートで12月11日、行われた。このテストフライトには、経済産業省と万博で運航を予定する日本航空などが参加。ドイツ製の試験用の機体にパイロットを乗せて実際に操縦する形で行われた。
試験機はプロペラを回し始めてゆっくりと浮かび上がりおよそ30mの高さまで上昇。そして上空をおよそ500四方で旋回した後、再び元の場所まで戻って着陸した。
万博では①全日空ホールディングスと米ジョビー・アビエーション②日本航空とドイツのホロコプター③丸紅と英国バーティカル・エアロスペース④スカイドライブ(自社開発)ーの4事業者グループが空飛ぶクルマを運航する予定。ただ、機体の安全性についての基準などが現在も定まっておらず、目標とする商用運航に向けて多くの課題が残されている。

KDDI 国内初 基地局に「曲がる太陽電池」24年2月から実証実験

KDDI(本社:東京都千代田区)は12月6日、KDDI総合研究所(所在地:埼玉県ふじみ野市)、エネコートテクノロジーズ(所在地:京都府久世郡久御山町)とともに、国内で初めて薄くて曲がる次世代太陽電池、ペロブスカイト太陽電池を基地局に設置する実証実験を始めると発表した。2024年2月から最大1年間、群馬県大泉町で実施する。太陽電池を設置しづらい電柱型の基地局にポールを付けて巻き付ける。実証実験はペロブスカイト型、CIGS型の2種類の次世代太陽電池を使う。発電効率や耐久性を確かめ、曲がる太陽電池を使った省エネ基地局の全国展開を目指す。