「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

ヤンマーとスシロー 養殖ブリ 遠隔でエサやりシステム実証

ヤンマーホールディングス(HD、本社:大阪市北区)と回転すし「スシロー」を運営するFOOD&LIFE COMPANIES(F&LC)は6月18日、養殖ブリに遠隔でエサやりをするシステムの実証実験を始めたと発表した。人手不足や物価高が続く中、効率的にエサやりができる体制を目指す。
尾鷲物産(所在地:三重県尾鷲市)の養殖場で実証する。ヤンマーの農機や建機を遠隔で操作する技術を活用する。2026年1月末まで約1万4,000匹のブリを対象に、生育状況やシステムの運用を検証する。このブリは2026年中にスシローの一部店舗で販売する予定。

大林組, アイシン ペロブスカイト太陽電池実用化へ実証実験

大林組(本社:東京都港区)とアイシン(本社:愛知県刈谷市)は6月13日、共同で大林組技術研究所(所在地:東京都清瀬市)でペロブスカイト太陽電池の実用化に向けて、交換が容易なファスナーを用いた取り外し式工法など大林組の開発した施工方法と設置方法で施工性の評価や発電量を検証する。

ミズノ, カネカ 人工芝に水中分解素材 海洋へのプラごみ削減

ミズノ(本社:大阪市住之江区)とカネカ(本社:東京都港区)は6月10日、屋内スポーツ用人工芝と充填材を共同開発したと発表した。水中でも分解されるカネカの生分解性バイオポリマー「Green Planet(R)」を使用、長期使用での摩耗などによって施設外に流出して、最終的に海に蓄積されるプラスチックごみの量を、従来製品の9割以上を削減したとしている。人工芝に生分解性素材を使用する事例は世界初という。

量研機構が脳画像解析 中高年うつ病に認知症たんぱく質関与

量子科学技術研究開発機構(QST)などは、40歳以上でうつ病などの気分障害を発症した患者の脳に、認知症の原因の一つになるたんぱく質が蓄積していることがあると明らかにした。同機構が開発した薬剤を使って撮影した脳画像を解析した。
認知症には「タウ」や「アミロイドβ(ベータ)」などたんぱく質が脳にたまることで発症するものがある。近年、認知症の前段階として、中高年でうつ病や双極性障害などの気分障害を発症する可能性が指摘されている。ただ、気分障害の発症とたんぱく質蓄積の関係について調べるのは難しかった。

ユニ・チャーム, 王子と協働 パームヤシ空果房使用段ボール

ユニ・チャーム(本社:東京都港区)は6月5日、王子ホールディングス(本社:東京都中央区)と協働し、パームヤシ空果房(以下、EFB)を原料の一部に用いたEFB・パルプ混さ段ボール原紙の開発に成功したと発表した。この段ボールはユニ・チャームのインドネシア現地法人が製造する一部商品の梱包資材として採用する。同社が進めるSDGsの取り組みの一環。

大成建設, ユーグレナ「サステオ」建設現場に初導入, 脱炭素

大成建設とユーグレナは6月5日、東京経済大学国分寺キャンパス第2期工事(施工:大成建設)で、CO2排出量を半分に抑える、ユーグレナの次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を建設機械や車両燃料として導入したと発表した。この燃料の建設現場への導入は国内初。
サステオは、軽油にHVO(水素化植物油、合成燃料)を51%混合したバイオ燃料で、CO2排出量を51%削減した、ユーグレナが開発した軽油代替燃料。国内経由の要求品質に適合しており、公道走行が可能なほか、既存の建設機械・車両にそのまま使用できる。

リニア中央新幹線工事 愛知県でシールドマシン使い本格化

JR東海によると、リニア中央新幹線のシールドマシンを使った工事が6月2日、愛知県春日井市で始まった。トンネルの掘削作業は、山間部では爆破させて掘り進める方法が主流だが、都市部ではこの方法は取りにくい。
名古屋市中心部から春日井市にかけての19.8kmは、地表から最深100mのところにシールドマシンで円筒状のトンネルを掘り、車両が通る空間をつくる。この工法は地上への振動や地下水への影響が少ないとされる。

遺伝性アルツハイマー病 iPS創薬で見つけた薬で最終治験 

京都大学グループ、大阪の医薬品メーカー、東和薬品は6月3日、遺伝性のアルツハイマー病治療について、iPS細胞を薬の開発に応用する「iPS創薬」と呼ばれる手法で効果がみられた、パーキンソン病の既存の治療薬「ブリモクリプチン」にアルツハイマー病と関係する物質を減らす効果があることを見つけ、この実用化を目指し最終段階の治験を始めたと発表した。
グループはこれまで特定の遺伝性アルツハイマー病の患者を対象に治療を行ってきた。その結果、ブリモクリプチンを投与した患者は認知機能の低下など、症状の進行が抑えられる傾向があったという。そこで実用化に向けて、東和薬品が患者24人を対象にした最終段階の治験を5月から始めたことを明らかにした。
この最終治験は2028年3月まで行う予定で、有効性や安全性が確認できれば、治験が終了してから1年程度で国に承認申請したいとしている。

川崎重工など3社 液化水素運搬船の建造体制構築で協業

川崎重工(神戸本社:神戸市中央区)、今治造船(本社:愛媛県今治市)、ジャパンマリンユナイテッド(本社:横浜市西区)の3社は6月2日、川崎重工が設計・建造する液化水素運搬船の後続船の建造体制構築に向け、共同検討を開始すると発表した。各社が持つ液化水素運搬船建造に必要な設備、人材などのアセットを相互に有効活用する。
液化水素運搬船は、大量の水素を国内に輸送することを可能にし、液化水素サプライチェーンの構築で重要な役割を果たすことが期待されている。

KDDI「スターリンク」活用のドローン運航 年内に実証実験

KDDIは5月29日、年内に米宇宙企業スペースXの衛星通信網「スターリンク」との直接通信を活用して、ドローンを運航する実証実験を行うと発表した。地震など災害時の活用が期待され、2026年3月までの実用化を目指す。
KDDIは10月以降に順次、全国1,000カ所にドローンが離着陸する拠点となる機器を整備する。震災からの復興で包括連携協定を結んでいる石川県から導入を始め、経営に参画しているローソンの店舗や市役所などにドローンを配備する。電線など社会インフラの監視や建設現場の作業確認、災害時の捜索活動などで使用することを想定。スターリンクと直接通信すれば、山間部や離島などでも簡単にドローンを運航できるようになる。