「アジア-社会」カテゴリーアーカイブ

ADB次期総裁に神田氏 前財務官 全会一致で承認

アジア開発銀行(ADB、本部:マニラ)は11月28日、前財務省財務官の神田真人内閣官房参与(59)が次期総裁に選出されたと発表した。69の加盟国・地域による信任投票の結果、全会一致で承認され、2025年2月24日付で就任する。
ADBはアジア太平洋の開発途上国を支援する国際開発金融機関。神田氏は財務官在任中、急激な円安を是正する為替介入の実務を指揮し、投機筋を牽制する発言を繰り返して注目された。先進7カ国(G7)財務相会合など国際会議でも議論をリードした。

政府13.9兆円 24年度補正予算案決定 歳入の半分を国債で

政府は11月29日閣議で、総合経済対策の裏付けとなる2024年度補正予算案を決定した。一般会計の歳出総額は13兆9,433億円。歳入は、ほぼ半額の6兆6,900億円を国債の追加発行で賄う。この結果、2024年度当初予算と合わせた補正後の歳出総額は126兆5,150億円に膨らむ。
歳出では、大半の13兆9,310億円を総合経済対策に充てる。この主な内訳は①賃上げ環境の整備や半導体への支援など「日本経済・地方経済の成長」に5兆7,505億円②低所得世帯への給付金など「物価高の克服」に3兆3,897億円③災害復旧や防災・減災など「国民の安心・安全の確保」に4兆7,909億円ーーを計上した。

10月有効求人倍率 全国平均1.25倍 2カ月連続前の月上回る

厚生労働省によると、10月の有効求人倍率は全国平均で1.25倍となり、前の月を0.01ポイント上回った。有効求人倍率が前の月を上回るのは2カ月連続。建設業などは求人を控える動きが見られたが、処遇改善で人手を確保しようとする企業も出てきているという。
都道府県別の有効求人倍率を就業地別にみると、最も高いのは福井県で1.94倍、次いで山口県で1.73倍、香川県の1.65倍が続いている。反対に最も低いのは北海道と大阪府で1.06倍、次いで福岡県の1.08倍となっている。

菊池投手 エンゼルスと3年総額97億円で契約

米大リーグのエンゼルスは11月27日、アストロズからフリーエージェント(FA)となっていた菊池雄星投手(33)と、3年総額6,300万ドル(約97億7,000万円)の契約を締結したと発表した。菊池投手にとってメジャー4球団目となる。
今回の契約は、ミナシアGMが就任した2020年以降で最高額の契約となる。今季、99敗を喫し西地区最下位に終わった球団の最優先課題として、投手陣の立て直し、ローテーションの軸となる選手の確保に叶うと判断したとみられる。
同球団に在籍した日本選手は長谷川滋利、松井秀喜、高橋尚成、田沢純一、大谷翔平に続いて6人目。

ミャンマー国軍トップに逮捕状 ロヒンギャ迫害の疑いで

国際刑事裁判所(ICC、所在地:オランダ・ハーグ)の検察局は11月27日、ミャンマーのイスラム系住民ロヒンギャのに対する迫害の疑いで、ミャンマー国軍トップのミン・アウン・フライン最高司令官に逮捕状を請求した。
ICCの声明によると、2017年に国軍が行った疑いがあるロヒンギャへの迫害や国外追放で、同氏が「刑事責任を問われるべき十分な根拠がある」としている。これにより、「100万人超のロヒンギャがミャンマーでの暴力から逃れることを余儀なくされている」と指摘している。
ロヒンギャはミャンマー西部ラカイン州を中心に居住し、多くは英国植民地時代に現在のバングラデシュから移住したとされる。不法移民とみなされて差別され、迫害を受けている。

阪大チーム 声失った患者そっくりの人工音声 AIアプリ開発

大阪大などの研究チームはこのほど、病気で声を失った患者の口元の動きから話そうとしている内容を人工知能(AI)で推定し、本人そっくりの人工音声を流す「読唇アプリ」を開発した。これを使えば患者の意思疎通が楽になるとし、チームは実用化を目指す。大阪大病院で患者に試験的に使ってもらうことを計画している。
チームは日本語の5種類の母音に加え、前後の音の並びによって変化する口元の動きを16種類に分類した「口形コード」という手法に着目。まず話している口元の膨大な映像と、その動きに対応するコードをAIに学習させ、口元の動きをコードに変換する手法を開発した。さらに別のAIを使い、コードを自然な日本語に置き換える2段階のシステムで、話そうとしている言葉を推定できるようにした。これらと、事前に録音した患者本人の声をもとに、人工音声でそっくりに再現するシステムも組み合わせ、アプリを完成させた。

全国14水道でPFAS基準超え 20〜23年度 24年度はゼロ

環境省と国土交通省は11月29日、全国の水道事業者が実施した水質検査の結果、健康への悪影響が指摘される有機フッ素化合物「PFAS」のうち「PFOS」「PFOA」について、2020年度から2023年度にかけ、全国の14カ所で国の暫定目標値を一時的に上回っていたことを明らかにした。2024年度は9月末時点で暫定目標値を上回る水道事業者はなかった。2020年度は東京都や神奈川県座間市など11カ所、2021年度は兵庫県西脇市など5カ所で国の目標値を上回った。

「新しい認知症観」理解促進へ 認知症施策基本計画を了承

政府は11月29日、認知症施策推進本部を首相官邸で開き「認知症施策推進基本計画」案を了承した。近く閣議決定する。石破首相は認知症になっても「当事者が住み慣れた地域で、周囲とのつながりから希望を持って暮らし続けられる社会の実現が必要だ」としている。基本計画には、こうした「新しい認知症観」への理解促進などを盛り込んでいる。

豪 16歳未満のSNS利用禁止へ 上下院可決 施行は1年後

オーストラリア議会上院は11月28日、16歳未満のSNS利用を禁じる法案を賛成多数で可決した。同法案は27日に下院を通過しており、近く連邦総督の裁可を受けて成立する。オーストラリア成府によると成立後、1年の猶予期間を経て施行される。子どもの人権を守る法案だが、SNSの利用を禁じる法案は世界初。
SNSを介した子どものいじめや性犯罪、有害な投稿の閲覧を防ぐのが狙い。SNSを運営する企業に対し、子どもがアカウントを持つことを防ぐ合理的な措置を求め、違反した場合は最高4,950万豪ドル(約50億円)の罰金を科す。

マイナ保険証で25年度から電子カルテ 病院間で共有へ

政府は、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を利用する患者の電子カルテ情報について、医療機関同士で共有する新システム「電子カルテ情報共有サービス」の運用を、2025年度に始める方針を固めた。この新システムは厚生労働省所管の法人が管理する。
これにより、各医療機関から電子カルテに記録された病名やアレルギー、感染症と生活習慣病の検査や健診結果、処方箋の情報が集まり、データベースに蓄積される。データの保存期間は3カ月〜5年間となる。全国の医療機関がデータを閲覧するためには、患者の同意を得る必要がある。
新システムが導入されると、救急患者の症状と、データを突き合わせて診断したり、初診患者の検査結果を、過去の数値と比べて病状の変化をみたりすることが可能になる。また、アレルギー情報は安全な薬剤の処方に役立つ。