「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

鹿島 コンクリート施工「型枠一本締め」70年ぶり新工法

鹿島は5月31日、岡部、丸久、楠工務店と共同で、コンクリート構造物の施工に不可欠な型枠工事を省力化する「型枠一本締め工法」を開発したと発表した。1950年代以降、画期的な技術革新がなかった型枠工事で、約70年ぶりの新工法となる。
同工法は、在来工法に比べて使用するパイプの軽量化と本数の削減、並びに施工方法の簡素化により歩掛(作業手間)を約20%向上できる。これにより、技能者の身体的負担を軽減するとともに、作業時間を短縮し、4月から強化された時間外労働時間の上限規制への対応につながる。また、運搬由来のCO2発生量も50%削減できる。鹿島はすでに全国10件以上の現場に同工法を導入し、その効果を確認しているという。

ヤンマーHD 船舶用メタノール対応エンジン26年に発売

ヤンマーホールディングス(HD)(本社:大阪市北区)傘下のヤンマーパワーテクノロジー(本社:大阪市北区、以下、ヤンマーPT)は5月29日、メタノール燃料に対応した船舶用エンジンを2026年に発売すると発表した。これは脱炭素に向け、運航中に従来のディーゼル燃料からメタノール燃料に切り替えられるエンジン。ヤンマーPTは2024年内に実機を用いた試験を実施し、2026年に販売を始める予定。
メタノールはディーゼル燃料と比較して二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、アンモニアや水素と並んで脱炭素に貢献する次世代燃料として注目されている。

KDDI 宇宙共創プログラム「MUGENLABO UNIVERSE」開始

KDDI(本社:東京都千代田区)は5月30日、スタートアップと大企業による、宇宙を活用し地球上の課題解決を目指す共創プログラム「MUGENLABO UNIVERSE」を同日より開始すると発表した。
同プログラムでは宇宙空間を再現したデジタル空間や低軌道上などの多様な実証環境や宇宙領域の有識者によるメンタリング・ネットワーキング機会をスタートアップと大企業へ提供することで、企業が宇宙事業に挑戦しやすい環境を整備する。また、新たな技術や事業アイデアを持つスタートアップと、宇宙を活用した事業開発を目指す大企業をマッチングすることで、地球上の社会課題解決事業の事業化を促進する。
2025年度に宇宙空間を再現したデジタル空間での実証、2027年度に低軌道衛星での実証を開始。2028年めどに月ー地球間通信の構築、2030年めどに月面モバイル通信の構築を目指し、宇宙から地球上の生活の変革と社会課題解決に貢献していく。

京大と住友林業 世界初の木造人工衛星「LignoSat」完成

京都大学と住友林業は5月28日、2020年4月より取り組んできた「宇宙木材プロジェクト」で、約4年かけて開発した木造人工衛星(LignoSat)が完成したと発表した。6月4日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)へ引き渡す。
これは1辺が100mm角のキューブサットと呼ばれる超小型の衛星で、NASA/JAXAの数々の厳しい安全審査を無事通過。世界で初めて宇宙での木材活用が公式に認められた。今年9月に米国フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げ予定のスペースX社のロケットに搭載し、国際宇宙ステーション(ISS)に移送する。ISS到着から約1カ月後に「きぼう」日本実験棟より宇宙空間に放出される予定。

トヨタ 低排気量の小型エンジンを開発 PHV, HVへ搭載想定

トヨタ自動車の佐藤恒治社長は5月28日、燃費効率と小型化を追求した新型エンジンの開発を進めることを明らかにした。開発するのは低排気量の直列4気筒のエンジンで、2種類用意する。プラグインハイブリッド車(PHV)やハイブリッド車(HV)など電動車のモーターとの併用を想定し、高効率化を目指す。

帝人 小児向け伸びる心臓パッチ共同開発 再手術リスク減

帝人(本社:大阪市北区)は5月27日、福井経編興業(所在地:福井市)および大阪医科薬科大学と共同で、先天性心疾患を持つ小児向け心臓パッチ「シンフォリウム」を開発し、6月12日に発売すると発表した。帝人傘下の帝人メディカルテクノロジー(所在地:大阪市)が販売する。価格は104c㎡の製品が37万8,560円。同製品は2023年7月に厚生労働省から製造販売の承認を取得している。この心臓パッチは伸縮することで、成長する小児の心臓の変化に対応し、これまでなら必要だった再手術のリスクを低減できるという。

認知症の原因物質を無毒化する触媒を開発 東大など

東京大学の金井求教授らは、アルツハイマー病の原因物質とされるタンパク質の「アミロイドベータ(Aβ)」を無毒化する触媒を開発した。
一連の流れは次の通りだ。研究チームが開発した化合物「LEV」は、注射で投与すると血管を通じて脳内に届く。体外から分子に光を当てると、アミロイドベータを酸化する反応が生じ、塊状のアミロイドベータがほぐれる。すると、免疫細胞のミクログリアがアミロイドベータを除去する働きを促す仕組み。マウスで効果を確認した。今後、臨床応用を目指す。
これらの成果をまとめた論文を国際科学誌「アドバンスト・サイエンス」に掲載した。

トヨタなど4社 脱炭素燃料30年導入へ共同検討

トヨタ自動車、出光興産、ENEOS、三菱重工業の4社は5月27日、自動車向けの脱炭素(カーボンニュートラル、CN)燃料の導入・普及に向け共同で検討を始めたと発表した。2030年ごろの導入を目指し、量産化の方法や実現に必要な制度などについて検討を進める。
CN燃料は既存のエンジン車にも活用できる可能性があるほか、充電に時間がかかる電気自動車(EV)と違い、給油時間をガソリン車並みにできるメリットがある。

東京海洋大学 ニジマスでサケの卵を繰り返し産卵に成功

東京海洋大学の研究グループは5月24日、ニジマスにサケの細胞を移植することで、サケの卵を繰り返し産卵させることに成功したと発表した。サケの養殖の効率化や品種改良、他魚種への適用を含め資源の保護に役立つ技術と期待される。
サケは数年間、海を回遊した後、生まれた川に戻って、一生に1度の産卵を終えると死んでしまう。これに対し、ニジマスは成熟した後は死ぬまで毎年、産卵し続ける。
グループはキングサーモンなどから精子や卵のもとになる「生殖幹細胞」を取り出して、ふ化したばかりのニジマスに移植。実験施設の水槽で飼育を続けたところ、2年ほどでニジマスは成熟してオスはサケの精子、メスはサケの卵を持つようになり、双方を人工的に授精させるとサケになった。さらにこれらのニジマスはその後も毎年、サケの精子と卵をそれぞれ持つようになり、メスは卵を産み続けた。

e-Mobility Power, 東光高岳 次世代超急速充電器を共同開発 

e-Mobility Power(イーモビリティパワー、本社:東京都港区)と東光高岳(本社:東京都江東区)は5月23日、次世代超急速充電器(一口最大出力350KW)を共同開発することで合意したと発表した。CHAdeMO規格の最大出力350KW/口の急速充電器の開発は世界初の取り組みとなる。10分の充電で400km走行できるとしている。
東光高岳はEV用急速充電器の国内累計販売台数No.1(2024年3月時点で約5,000基)の実績を持つ。イーモビリティパワー、東光高岳の両社は、あらゆる車種のEV、PHEV(プラグインハイブリッド車)ユーザーの需要に応える。