「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

凸版印刷など3社 包装材料のマテリアルリサイクルで実証開始

凸版印刷(本社:東京都文京区)、三菱ケミカルグループ(本社:東京都千代田区)、共栄社化学(本社:大阪市中央区)の3社は6月22日、包装材料の製造工場から排出される廃プラスチックを水平リサイクルすることを目的とする、マテリアルリサイクル生産プロセスを共同開発する契約を3月15日に締結。6月より、生産実証プロセスの原理検証機の導入を含む、マテリアルリサイクルの生産プロセスの実証試験を開始する。
今回開発する技術は、プラスチック複合素材の包装材料を剥離・脱墨・分離し、素材別の樹脂として取り出すことが可能だ。取り出された各々の樹脂は品質劣化が少なく、洗剤やシャンプーなどのトイレタリー製品や食品の包装材に使用するフィルムの原料としての利用を検討している。3社は2027年度の社会実装を目指す。

大王製紙 東北大・東大などとCNF半導体材料開発を開始

大王製紙(本社:東京都千代田区)は6月21日、セルロースナノファイバー(以下、CNF)の新たな用途開発として東北大学、東京大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)と共同で、半導体材料開発を開始すると発表した。この開発テーマは、このほど国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」に採択され、今年度より4社で共同研究を行う計画。
植物由来のCNFが半導体特性を示すことはすでに東北大学の研究で見出されており、東北大(橋田特任教授グループ)、東大(磯貝特別教授グループ)、産総研(セルロース材料グループ、化合物半導体デバイスグループ)の4グループと共同で研究開発を進めていく。

SkyDrive 仏タレス社とフライトコントロールSのサプライヤー契約

空飛ぶクルマ(以下、eVTOL)および物流ドローンの開発を手掛けるSkyDrive(本社:愛知県豊田市)は6月22日、航空業界のグローバルトップリーダー、Thales(本社:フランス・パリ、以下、タレス社)とフライトコントロールシステムのサプライヤー契約を締結したと発表した。フライトコントロールシステムは、空飛ぶクルマで最も重要な要素の一つであり、パイロットの操縦装置からの入力を受け取り、機体の姿勢や速度を制御する機能を持ち、高い安定性・信頼性を担保する。これにより、同社はタレス社のeVTOLの「FlytRise」を、現在開発中の「SKYDRIVE」(SkyDrive式SD-O5型式)に搭載する。

ワインの天然醸造にブドウ皮の常在菌が大きな役割 大学研究G

奈良先端科学技術大学院大学と京都大学の研究グループは6月20日、ワインを天然醸造する際にブドウの皮にいる常在菌が大きな役割を果たしているとする研究成果を発表した。グループは酵母による発酵の条件を調べようと、ブドウの皮の表面にいる常在菌に着目。この常在菌と酵母をブドウの表面につけて発酵させる実験を行った。その結果、菌を加えた場合は、酵母だけの場合に比べて発酵する速度が大幅に速まったという。ワインができるメカニズムの解明につながる成果として注目される。

豊田合成 パウデックと横型GaNパワー半導体を共同開発

豊田合成(本社:愛知県清須市)は6月20日、パウデックと共同で太陽光発電などに応用される電力変換装置の性能向上につながる、高性能な横型GaNパワー半導体を開発したと発表した。これにより、世界トップクラスとなる800Vで100万分の1秒でのオン・オフ動作を確認したとしている。今後安定した連続動作と耐久品質の確保を通じて、早期実用化を目指す。

スカイドライブ スズキと空飛ぶクルマ製造で基本合意

空飛ぶクルマの開発を進めるスタートアップ企業、スカイドライブ(本社:愛知県豊田市)は6月19日、スズキ(本社:静岡県浜松市)と製造に向けて基本合意したと発表した。スズキグループの工場を活用し、2024年春の製造ラインの稼働開始を目指す。また、スカイドライブは電動の垂直離着陸航空機、eVTOL(イーブイトール)の製造を目的とする完全子会社を設立する。

次世代ペロブスカイト太陽電池の実証事業 東京都 開発2社と協定

東京都は6月19日、次世代太陽電池として期待される「ペロブスカイト太陽電池」の実用化に向け、開発企業2社と実証事業に関する協定を締結したと発表した。都が場所を提供し、2社が発電性能の検証などを行う。この2社はペロブスカイト太陽電池の開発を進める、京都大学発スタートアップのエネコートテクノロジーズ(所在地:京都府)と、センサーを開発するマクニカ(所在地:横浜市)。
ペロブスカイト太陽電池は薄く、折り曲げることも可能で、重装備の設備が不要で設置場所の自由度も高い簡易型電池。実証事業では都庁舎の一室に同太陽電池を活用したIoT(モノのインターネット)センサー5台を設置予定。2024年5月31日まで実施し、結果を公表する予定。

出光興産 全固体電池の固体電解質の小型実証プラントの能力増強

出光興産(本社:東京都千代田区)は6月19日、全固体リチウムイオン二次電池の普及・拡大へ向け、固体電解質の小型実証設備第1プラント(稼働開始2021年11月)の生産能力を増強すると発表した。完工時期は2024年度の計画。また、2023年7月より小型実証設備第2プラントの稼働も開始。全固体電池の開発を進める自動車・電池メーカーなどへ、固体電解質を着実に供給していく。

INPEX, 大阪ガス 脱炭素げ世界最大級のメタネーション試験設備 

INPEXと大阪ガスは6月16日、共同でNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から採択された助成事業のもと、2021年より進めている都市ガスのカーボンニュートラル実現へメタネーションの実用化に向けた技術開発事業で、新たに千代田化工建設とEPC契約を締結したと発表した。これに基づき建設開始した試験設備は、世界最大級となる家庭用1万戸分に相当する400N㎥-CO2/h。メタネーションの実証事業期間は2021年度下期〜2025年度末の予定。

クボタ コンバインも無人自動運転 主要農機を無人自動化

クボタ(本社:大阪市浪速区)は6月14日、無人で自動走行するコンバイン「アグリロボコンバインDRH1200A-A」を2024年1月に国内で発売すると発表した。まず国内で販売し、年間50台の販売を見込む。価格は約2,200万円からと、従来機種と比べ20〜30%高い。
同社はすでにトラクターと田植機は無人自動運転を実現しており、今回のコンバイン投入で、主要農機で無人自動運転機種が出揃うことになる。これによりヤンマーホールディングスや井関農機など同業他社に先行する。
無人自動運転コンバインは、レーザー光を使ったセンサーと、人工衛星からの位置情報を使って自動走行する。機体の前後左右に設置したAI(人工知能)カメラで障害物も検知する。リモコンで遠隔操作して運転を止めることも可能という。