「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

名大など 近赤外線免疫療法の新たな画像評価技術開発に成功

名古屋大学大学院などの研究グループは8月7日、手術・放射線・化学療法・がん免疫療法に続く”第5のがん治療法”といわれる近赤外線免疫療法の効果を予測する新たな画像評価技術開発に成功したと発表した。
同グループは、近赤外線免疫療法で治療した腫瘍でEPR効果が高まることに着目し、治療後に血管周囲のスペースが光細胞死によって拡大することで、マイクロサイズの粒子をも滞留することを新規に発見して、その機序解明と滞留する粒子サイズの上限を明らかにした。

東北大 次世代通信「6G」向け電波偏向制御技術を開発

東北大学大学院の金森義明教授らの研究グループは8月7日、新しい透過型メタマテリアルでテラヘルツ波の伝播方向を広角に制御できる次世代通信移動通信システム「6G」向け電波偏向制御技術を開発したと発表した。この結果、0.3〜0.5THzの周波数帯で、世界で初めて74°の広角な偏向走査を実現した。これにより、6Gをはじめ、医療・バイオ・農業・食品・環境・セキュリティなど幅広い分野での応用が期待される。

日本製鉄 高炉水素還元技術の試験炉でCO2排出量22%削減を確認

日本製鉄は8月4日、東日本製鉄所君津地区の水素還元試験炉(内容積12㎥)で、世界最高水準となる高炉本体からのCO2排出量を22%削減する効果を確認したと発表した。さらに2023年内をめどに、30%以上のCO2削減を目指した試験を予定している。これらの実証試験を重ね、大型高炉でのSuper COUSE50技術(CO2排出量50%以上削減)確立の早期化に取り組んでいく。

第一三共 初の国産コロナワクチン承認取得 供給はせず

第一三共(本社:東京都中央区)は8月2日、同社が開発した新型コロナウイルスワクチン「ダイチロナ」の国内での製造販売承認を取得したと発表した。国内企業が開発した初の国産ワクチンとなる。これはメッセンジャーRNA(mRNA)タイプで、従来型ウイルスに対応した1価ワクチン。同タイプの米ファイザーや米モデルナのワクチンが冷凍が必要なのとは異なり、2〜8度の冷蔵で流通・保管できるという。ただ、様々な変異型が横行している中、同クチンは出荷せず、同社も変異型ワクチンの開発を進める。

アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」厚労省8/21に承認判断

厚生労働省が、日本のエーザイと米国のバイオジェンが共同で開発を勧めてきたアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」について、8月21日に開く専門部会で承認するかどうかを判断することが分かった。承認されれば、国内初の薬となる。
レカネマブは最終段階の治験で、この薬を投与された患者は偽の薬を投与された患者と比べて、1年後の認知機能の低下がおよそ27%抑えられ、症状の進行を緩やかにする効果が確認されている。米国では7月上旬、日本に先駆けて治療薬として正式承認されている。

アステラス製薬 胃がん治療薬を中国で承認申請 当局が受理

アステラス製薬は8月1日、開発中の胃がん治療薬「ゾルべツキシマブ」について、中国国家薬品監督管理局(NMPA)の医薬品評価センターが承認申請を受理したと発表した。海外では米国や欧州でも申請しており、日本では6月に厚生労働省に製造販売承認を申請している。
同社はゾルベツキシマブを重点戦略製品と位置付け、世界でのピーク時の売上高を最大年2,000億円と見込んでいる。ゾルベツキシマブは胃腺がん、食道胃接合部腺がんの治療薬として開発されたもの。
胃がんは世界中で5番目に多く診断されるがん。同社によると世界で新たに診断される胃がん患者数のほぼ半数を中国人患者が占め、2020年には47万8,000人以上が胃がんと診断されているという。

トヨタと三菱重工 29年打ち上げの月面探査機開発で連携協力

宇宙航空研究開発機構(JAXA)、トヨタ自動車、三菱重工業は7月21日、2029年の打ち上げを目指す有人月面探査車「ルナ・クルーザー」の開発で連携・協力していくことになったと発表した。トヨタ、三菱重工の両社は今後、トヨタがこれまで培った自動運転の技術を用いて、三菱重工の無人探査機の開発をサポートする一方、三菱重工は2025年に先行して立ち上げる予定の無人探査機で得られる月面の様々なデータを提供するなどして、トヨタの有人探査機の開発を後押しする。

岩谷産業 25年万博 水素燃料電池船の旅客運航事業者に決定

岩谷産業は7月20日、2025年大阪・関西万博会場へのアクセスとして、中之島ゲートと夢洲(ゆめしま)をつなぐ国内初の水素燃料電池船の旅客運航事業者に決定したと発表した。運航実務は京阪グループの大阪水上バス(本社:大阪市)に委託する。今回の水素燃料電池船は、2021年に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択され、開発が進められている。走行時にCO2など環境負荷物質を排出しないほか、におい、騒音、振動の少ない優れた快適性を実現するとしている。

岩谷産業, トーヨーカネツ 液化水素の大型タンク共同開発へ

岩谷産業とトーヨーカネツは7月19日、液化水素を貯蔵する円筒形の大型タンクの共同開発案件が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択されたと発表した。国内で実用化されている球体タンクの約20倍にあたる、容量5万㎥のタンクの開発を目指す。予定事業期間は2023〜2027年度。水素貯蔵に強い岩谷産業と液化天然ガス(LNG)向け大型タンクなどで実績のあるトーヨーカネツがノウハウを持ち寄る。最終的に内部の直径が40m、高さ60m程度の円筒型のタンクの開発を目指す。

積水ハウス 水素を製造・貯蔵・使用できる電力自給住宅を実証

積水ハウス(本社:大阪市北区)は7月14日、太陽光発電による再生可能エネルギーの電力を用い、自宅で水素をつくり、住宅内の電力を自給自足する住宅メーカー初の水素住宅の2025年夏の実用化を目指し、2023年6月から同社総合住宅研究所で実証実験を開始したと発表した。これによりCO2が一切発生しない、日常生活におけるゼロカーボン化と電気の自給自足の実現を目指す。