「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

家庭から排出される廃プラスチックを水素へ 官民の検討会発足

岩谷産業、豊田通商、日揮ホールディングスの3社は5月18日、廃プラスチックガス化設備を活用した低炭素水素製造事業の実現に向けて、14の会員自治体と12のオブザーバーとともに、廃プラスチックのケミカルリサイクルによる水素製造検討会を発足し、第1回検討会を実施したと発表した。水素製造開始は2020年中ごろを目標とする。水素製造能力は1.1万トン/年(廃プラ回収量:8万トン/年)。
同検討会では、再商品化手法の一種であるガス化ケミカルリサイクルを用いた各地域の大規模プラスチック資源循環システムの構築と、中部圏での先進的な地産地消低炭素水素供給システムの確立を目的とし、各地域で発生する廃プラスチックの効率的な収集を検討していく、

核融合発電の京大発ベンチャーに17社が105億円を出資, 後押し

次世代のエネルギー減として期待される核融合発電の研究開発を手掛ける京都大学発ベンチャー企業に、政府系ファンドや電力会社、大手商社など17社が合わせて105億円を出資し、官民で実用化に向けた動きを後押しすることになった。
この企業は、京都大学エネルギー理工学研究所の研究者らが立ち上げた「京都フュージョニアリング」で、世界初と鳴る小規模な実験用の発電プラントの建設を進めている。出資するのは政府系ファンドのJICベンチャー・グロース・インベストメンツ、三菱商事、三井物産、関西電力のグループ会社など。

中越パルプと丸紅 CNF使用の化粧品用途向け原料の販売開始

中越パルプ工業(東京本社:東京都千代田区)と丸紅(本社:東京都千代田区)は5月17日、中越パルプが製造するACCセルロースナノファイバー(以下、CNF)「nanoforest(R)」を使用した化粧品用途向け原料の販売を開始したと発表した。中越パルプが製造するCNFは、原料に未利用竹材を含む国産竹100%の天然繊維を使用。用途に合わせた形態で提供できることに加え、これを配合することで増粘性や触感改良機能、顔料分散安定性、洗浄性、保湿性、乳化安定性などを付与できるという。

京セラ デジタル捺染機開発, 水の消費ほぼゼロで布に印刷

京セラ(本社:京都市伏見区)は5月10日、水の消費量をほぼゼロで、布地にデザインを施せるデジタル捺染機「フォレアス」を開発したと発表した。フォレアスはインクジェットプリンターと同様で、幅は約2mまでの布地に最大8色でデザインできる。
同社は独自開発の顔料インクを採用。印刷後の洗浄を不要にしたことで、アナログ染色に比べ水の使用量を99%以上減らせる。環境負荷の軽減に力を入れるアパレル企業などの需要を見込み、2027年3月期に100億円の売上高を目指す。

岩谷産業・三菱重工 水素発電向けポンプ開発・販売で連携

岩谷産業と三菱重工業は4月26日、カーボンニュートラル実現に向けた革新的な水素供給システムを構築するため、液化水素昇圧ポンプの開発・販売に向けた覚書を締結することで合意したと発表した。
今回の覚書を足掛かりとし、三菱重工が開発した液化水素昇圧ポンプ(90MPa級)を用いて、国内向け液化水素ステーションの最適化および各設備を合理化したパッケージ開発を、岩谷産業と共同で進めていく。また、国内での水素発電設備および液化水素受入基地に、三菱重工製の液化水素昇圧ポンプが適用・導入できるように検討していく。

慶應大学など注射針より細い関節用内視鏡を開発 患者負担軽減

慶應大学とエアウォーターなどの研究グループは、光ファイバーを使って内視鏡を注射針よりも細くする技術の開発に成功したと発表した。
グループは特殊な光ファイバーに光を通すとレンズと同じように屈折することに注目し、レンズの代わりに光ファイバーを取り付けた内視鏡を開発した。これは太さが1.25ミリ程度と非常に細いため、点滴などで使う注射針の中を通すことができ、解像度の高い映像を撮影できるという。これまでは膝の関節などの内視鏡検査は全身麻酔での手術が必要だったが、今回の開発によりごく小さな穴から挿入できるため、患者の負担を減らすことがきたしできるとしている。

ラピダスの千歳新工場 9月に着工 鹿島が施工受注 25年1月完成

最先端半導体の国内生産を目指すラピダスは4月25日、北海道千歳市で計画する新工場の建設を始めると発表した。鹿島が受注、9月に着工し、2025年1月の完成を予定する。ラピダスは「2ナノ」と呼ばれる最先端半導体を2027年に量産することを目指している。

IBM開発の最新型「量子コンピューター」今秋めどに国内導入

ケタ違いの計算能力の高さがある次世代コンピューターとして研究開発が進められている「量子コンピューター」について、米国のIBMが開発した最新型が今秋めどに国内に導入されることになった。4月21日、IBMのジェイ・ガンベッタフェローと東京大学の相原博昭理事が東京都内で会見を開き発表した。この最新型は集積回路を構成する量子ビットの数が127とこれまでのおよそ5倍あり、商業用としては国内では最高性能となる。
この量子コンピューターは神奈川県川崎市内の施設に置かれ、使用権を持つ東京大学が国内の自動車メーカーや金融機関などとつくる協議会と共同で利用し、経済産業省が導入にかかる費用などとして42億円を補助するという。

IHI, 大阪ガス マレーシアでバイオマス活用のe-メタン製造の覚書

IHI(本社:東京都江東区)と大阪ガス(本社:大阪市中央区)は4月19日、マレーシアの大手国営ガス・石油供給事業者Petroliam Nasional Berhadの技術ソリューション部門、PETRONAS Global Technical Solutions Sdn.Bhd.と、マレーシアでバイオマスの未利用森林資源や農業残渣を活用したe-メタン製造事業の基本設計と詳細を検討するための覚書を締結したと発表した。
e-メタンは、既存の都市ガスインフラや消費機器が活用できるため、スムーズなカーボンニュートラル社会への移行と社会コストの抑制が可能とされている。

重症拡張型心筋症で新治療法に道筋 病態解明し標的を同定 東大など

東大など研究チームは4月17日、重症拡張型心筋症の病態を解明し、新たな治療標的を同定したと発表した。モデルマウスおよびiPS心筋細胞を多面的に解析した結果、突き止めることに成功した。同チームには東大ほか、理研、成育医療センター、東京医科歯科大、神戸大などが参画している。
近年、世界的に心不全患者は増加の一途をたどっており、高齢化の影響もあって、患者数は2030年には米国で約800万人、日本で約130万人に達すると推計されている。ところが、治療法の開発はまだ途上にある。