「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

大塚製薬 経口タイプの抗がん剤 ECから製造販売承認を取得

大塚製薬は9月19日、成人の急性骨髄性白血病の治療に使われる経口タイプの抗がん剤「イナコビ」について、欧州委員会(EC)から製造販売承認を取得したと発表した。各国で順次販売する。
同社の注射で投与する抗がん剤「ダコジェン」を経口剤にした。がん細胞の増殖を抑制し、機能を回復させる効果がある。注射の投与は通院治療ととなるが、経口剤は在宅治療が可能で、患者の負担が減らせると期待される。

塩野義コロナ治療薬 重症化リスクの患者にも抑制効果

塩野義製薬(本社:大阪市中央区)は9月19日、同社の経口投与タイプの新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」が重症化リスクの高い患者にも抑制効果があることを確認したと発表した。ゾコーバは軽症や中等症の患者向けの経口治療薬で、重症化リスクの高い患者への効果は示されていなかった。
今回行った臨床試験(治験)で、別の薬で十分な効果が得られなかった患者にゾコーバを投与したところ、67%の患者でウイルス量が基準値以下まで下がったという。ゾコーバを21人の患者に1日1回、5日間投与した結果、14人のウイルス量が基準値以下となり、6日目までにすべての患者の症状が改善し、重症化したり死亡したりした患者がいなかったとしている。
また、別の治験で息切れ、集中力や思考力の低下といったコロナ後遺症を1年以上にわたり抑える効果があることも確認したと発表した。

スズキとパナソニック系 電動二輪で新しいモビリティ開発で合意

スズキ(本社:静岡県浜松市)とパナソニックサイクルテック(本社:大阪府柏原市)は9月15日、電動アシスト自転車の駆動ユニットを活用した新しいモビリティの共同開発で合意したと発表した。これはパナソニックサイクルテックが開発、製造、販売している電動アシスト自転車の小型・軽量な駆動ユニットとリチウムイオンバッテリーを活かし、ススキの二輪車技術開発と組み合わせることで、新しいモビリティの商品化の可能性を検討するもの。

スカイドライブ 韓国会社に「空飛ぶクルマ」納入予約 最大50台

「空飛ぶクルマ」の開発を進めるスカイドライブ(本社:愛知県豊田市)は9月15日、韓国の航空機リース会社、ソリュ−・カンパニー(所在地:韓国・ソウル)から空飛ぶクルマの購入予約を受けたと発表した。2025年大阪・関西万博で実用化を目指す空飛ぶクルマの3人乗りの機体で、2026年にも最大50機を納入する予定。海外からの購入予約はベトナム、米国に続き3カ国目。

東和薬品, NTTデータなど 認知症周辺症状を解決するDTxを共同研究

ジェネリック医薬品を主幹事業とする東和薬品(本社:大阪府門真市)は9月14日、VIE STYLE(本社:神奈川県鎌倉市)、NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区)とともに、ブレインテックを活用した認知症の周辺症状を解決するDTx(デジタルセラピューティクス)の共同開発を行うため業務提携したと発表した。VIE STYLEは、イヤホン型脳波計「VIE ZONE」とニューロテクノロジーAIの開発を手掛けている。
今後3社は、分野を超えたパートナーシップで新しい価値を生み出しながらブレインテックの事業化を推進し、社会課題の解決および人々のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に寄与することを目指す。

川崎重工 大規模ステーション向け水素圧縮機技術 NEDOが採択

川崎重工は9月12日、同社が開発を進める大規模水素ステーション向け「大容量高圧ガスブースター式水素圧縮機の技術開発」がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業に採択されたと発表した。
大型燃料電池バスおよびトラックなど大型商用車ベースの燃料電池車(以下、FCHDV)では大流量での水素充填が可能な大規模ステーションが必要とされている。同事業では大容量高圧ガスブースター式水素圧縮機を開発することと、大規模水素ステーションを実現し、FCHDVの普及を後押しすることを目指す

三菱重工など日英伊の3社が次期戦闘機で協力協定に合意

三菱重工、英国の航空防衛大手BAEシステムズ、イタリアの防衛大手レオナルドの3社は9月12日、次期戦闘機開発で協力協定に合意したと発表した。今回の合意によって3社は、2035年の次期戦闘機配備に向けて情報を共有し、長期的な役割分担や、次期戦闘機のコンセプトと要求能力の策定を進める。

空飛ぶクルマで共同研究 あいおいニッセイ, MS&AD, HUAM

MS&ADインシュアランスグループのあいおいニッセイ同和損害保険とMS&ADインターリスク総研、法政大学大学院アーバンエアモビリティ研究所(以下、HUAM)は9月11日、空飛ぶクルマなどエアモビリティの社会実装に向け9月1日、共同研究契約を締結したと発表した。
これに基づき、空飛ぶクルマに関する総合的なリスクアセスメントや安全・安心なモビリティサービス事業の構築、次世代航空分野における人材育成に向けた共同研究を行う。
空飛ぶクルマは2025年に国内での社会実装が目指されており、2035年までに空飛ぶクルマ自体の市場規模は大阪関西エリアだけで約920億円、付随した経済波及効果は約1,530億円にも上るとみられている。

AGC 車載用全固体電池向け硫化物電解質の新生産技術開発に成功

AGC(本社:東京都千代田区)は9月6日、車載用全固体電池に使われる硫化物固体電解質の量産に向けた、新たな生産技術の開発に成功したと発表した。事業化に向け今後、生産プロセスや品質の改善を進めていく。
硫化物固体電解質は、車載用全固体電池の有力材料と目されているが、化学的に不安定で取り扱いが難しいため、これまで量産が極めて困難で、車載用全固体電池の実用化に大きな障壁となってきた。今回AGCはガラスと化学の技術を融合させた独自の溶融法を確立し、AGC横浜テクニカルセンターのパイロットラインで技術的な実証に成功した。

東北大 ハブ毒から得た酵素でアミロイドβを分解 認知症治療に道

東北大学大学院の研究グループは8月31日、アルツハイマー病治療につながることが期待される研究成果を発表した。今回の研究成果は日本時間2023年8月12日、科学雑誌『Toxins』に掲載された。
グループは、ハブの粗毒から金属イオンアフィニティ法を用いて蛇毒、メタロプロテアーゼ(SVMPs)を精製。このSVMPsはアミロイドβ(Aβ)を無害なペプチド断片へと分解し、ヒト培養細胞からのAβ産生量を大幅に減少させることを発見した。アルツハイマー病の発症は、脳内にこのAβが蓄積することが主要原因の一つといわれるだけに、今回の研究結果から、アルツハイマー病治療法に結びつくことが期待される