三重県の福祉人材センターが2018年11月、県内の中学2年生、高校2年生、その保護者、教職員を対象に実施した、介護や福祉の仕事に対するイメージ調査によると、子どもより大人の方が否定的な反応が目立った。介護・福祉の仕事の賃金・給与について、「良い」「やや良い」と回答した割合は中学生が32.8%、高校生が30.6%だった。これに対し、中学生の保護者は12.8%、高校生の保護者は15.5%、教職員はさらに低く、中学が4.2%、高校が5.5%にとどまっている。社会的評価についても同じ傾向がみられた。「良くない」「あまり良くない」の回答は中学生が7.2%、高校生が12.3%。中学生の保護者は34.1%、高校生の保護者は34.3%だった。教職員はさらに多く、中学で38.3%、高校では45.8%にも上った。ただ、「仕事のやりがい」について、保護者や教職員の回答はポジティブな見方をしている人が非常に多い傾向がみられた。その一方で現実には、「働きやすさ(労働時間・休日等)」や「精神・身体の負担」について、ネガティブな見方をしている人が大勢を占めている。
「介護」カテゴリーアーカイブ
KCCS 病院・福祉施設向け栄養供給管理システムを7月から販売開始
京セラコミュニケーションシステム(本社:京都市伏見区、以下、KCCS)は6月12日、病院・福祉施設・給食委託業者向け栄養給食管理システムの最新版「MEDIC DIET(メディック・ダイエット)Ver.9」の販売を、7月1日から開始すると発表した。MEDIC DIETは、管理栄養士の献立作成や食数・材料・喫食情報管理など高度で複雑な業務を正確かつ迅速にサポートすべく開発された栄養給食管理システムで、1987年の販売開始以来32年間にわたり業界をリードしてきた製品。今回販売するMEDIC DAIET Ver.9は、複雑さを増す栄養管理業務の負荷軽減や効率化を目的に、従来の製品機能を継承しつつ、操作性や機能面での改善を図っている。
高齢者らの手足の震えの原因解明、世界初 群馬大大学院研究G
群馬大学大学院の研究グループはこのほど、高齢者らの手足が無意識に震える症状について、世界で初めて原因を解明したと発表した。小脳から運動に関する電気信号を送る神経細胞の突起部分で、たんぱく質の一種が失われることが原因としている。無意識の震えは65歳以上の高齢者の14%、7人に1人の割合でみられる症状。定年年齢の引き上げが大きな話題になる中、この手足の震えにより高齢者が働き続けるうえで、職種によっては大きな障害になっている。
厚労省 介護現場革新へ全国7カ所で パイロット事業
厚生労働省は今年度、介護現場の生産性向上に向けたパイロット事業を全国7カ所で実施する。このほど開いた、特養や老健、グループホームの事業者団体が参画する「介護現場革新会議」で、選定した7自治体から事業内容の報告を受け、相互に連携して取り組みを展開していく方針を確認した。介護現場革新プランの内容は、人手不足に対応した新たなマネジメントモデルの構築が柱の一つ。施設などの業務を細分化し、必ずしも高い専門性を要しないものを、元気な高齢者などに任せていく形を広げる計画を掲げた。こうした役割分担とロボットやセンサー、ICTなどの活用をセットで進めていくことで、サービスの質の維持や職員の負担軽減を図る構想を描いている。
東京福祉大に受け入れ停止指導文科省 留学生1,610人所在不明
文部科学省は6月11日、東京福祉大学(本部所在地:東京都豊島区)で留学生1,610人が所在不明になっているとの調査結果を公表した。調査結果によると、2016~18年度に約1万2,000人の留学生を受け入れたが、うち1,610人が所在不明、700人が退学、178人が除籍になっていた。こうした状況を招いた点、「大学の責任は重大」として、留学生の受け入れを当面停止するよう指導した。これに伴い、同大学には留学生の在籍管理の徹底を求めるとともに、私学助成金の減額や不交付も検討するとしている。同大学の留学生は社会福祉学部など正規課程のほか、日本語や日本文化を学ぶ留学生別科、正規課程の準備段階の学部研究生などに分かれる。
介護予防のインセンティブを抜本強化、交付金倍増へ
政府はこのほど開いた未来投資会議で、今年の新たな成長戦略の素案を提示した。この柱の一つとして位置付けるのが、健康寿命の延伸に向けた介護予防。自治体により積極的な取り組みを促すため、その努力あ成果に応じて配分額を決める「インセンティブ交付金」を抜本的に強化する方針を打ち出した。来年度からの予算の倍増を図る。今年度のインセンティブ交付金の総額は200億円。これから年末にかけての予算編成過程で調整し、400億円程度まで積み増したい考えだ。
東京福祉大学の系列校 留学生 の大幅定員超過は5年以上
東京福祉大学系列の専門学校が定員を大幅に超える留学生を入学させていた問題で、この専門学校は「日本語学校からの受け入れ要請を断り切れなかった」とし、少なくとも5年以上にわたり、この状況が続いていたことが分かった。この学校は名古屋市の東京福祉大学系列の専門学校「保育・介護・ビジネス専門学校」。同校の留学生を受け入れている「国際教養学科」は、一学年の定員は240人だが、今年度はこの9倍近くにあたる2,100人を入学させていた。この大幅な水増し入学は2015年度から始まったとみられ、同年度の受け入れ人数はおよそ500人で、年を追うごとに増え続けていったという。愛知県は、同校が県に虚偽報告を行っていた疑いがあるとして、現在実態調査を進めている。
CTCとウェルモ AI活用し訪問介護のヘルパー配置の最適化で実証実験
伊藤忠テクノソリューションズ(本社:東京都千代田区、略称:CTC)とウェルモ(本社:福岡市)は6月6日、訪問介護事業所や介護士の生産性向上への貢献を目的に、AIを活用して訪問介護のヘルパーを最適に配置するシステムを開発したと発表した。アスパル(所在地:福岡市)、グリーンケア(所在地:福岡市)、ナイスケア(所在地:東京都目黒区)の各事業所で、5月21日から6月末にかけてこのシステムの実証実験を実施する。今回のシステムは、ウェルモが開発する介護の資源プラットフォーム「ミルモネット」と、CTCが開発する最適配置を行うAIエンジンを連携したもの。これにより、ヘルパーと介護サービス利用者の要望を最大限満たして満足度を高めるとともに、ケア受け入れ数を最大化した訪問ルートを自動作成することができる。
18年最多の44.4万人減少,合計 特殊出生率1.42、人口減少加速
厚生労働省によると、2018年の人口減少幅は44万4,000人余に達し、11年連続で過去最大となり、人口減少が加速していることが浮き彫りになった。出生数は91万8,379人(前年比2万7,000人余減)と、明治32年に統計を取り始めて以来最も少なくなった。一方、死亡者数は136万2,482人(同2万2,000人余増)と最多となった。合計特殊出生率は1.42となり、前年を0.01ポイント下回った。これを都道府県別にみると、最も高かったのは沖縄で1.89、次いで島根が1.74、宮崎が1.72となっている。最も低かったのは東京で1.20、次いで北海道の1.27、京都が1.29で続いた。また、2018年に結婚した男女の数は全国で58万6,438組と戦後最も少なくなった。
介護人材育成で画期的取り組み海外で育成し、日本へ派遣
介護人材の慢性的な不足を抜本的に改善することを目的に、業界事業者や関連業者に呼び掛け発足した「介護人材フォーラム」の発起人会合が6月6日、大阪市淀川区で開かれ、正式に立ち上げ、活動が始動することになった。同フォーラムは、海外からの介護人材の受け入れ・育成および、国内の主婦・学生・高齢者らを対象に地域ごとに地域の事情に合わせて様々な手法で、それぞれ育成することを目指している。発起人会合には、事務局の役割を担う一般社団法人 外国人介護留学生支援機構(所在地:大阪市淀川区)の呼び掛けに応じ出席したのは、社会福祉法人および医療法人含め3社の介護事業者と関連業者2社の5社だったが、時間的に調整がつかず出席しなかった介護事業者5社を合わせ、10社が発起人として名を連ねている。同フォーラムの最大の特色は、画期的な取り組みの方向にある。中長期的な到達目標として、海外における日本語学校併設の日本式介護研修施設による介護人材の育成を掲げ、そのうち希望者を日本の介護施設へ派遣するというものだ。また、外国人介護人材の現行制度のもとでの受け入れについても、海外諸国の人材送り出し関連団体および受け入れの管理組合を介さない独自ルートによる介護人材育成システムの構築を目指すとしている。外国人材受け入れ拡大に向け、4月からスタートした新在留資格「特定技能」制度に基づく外国人受け入れも、現状では問題点や課題が数多く指摘されている中、抜本的な解決策として今後の取り組みの行方が大いに注目される。