米国際貿易裁判所は5月28日、トランプ米大統領が発動した「相互関税」など一連の関税措置について、「違法であり無効」と指摘し、恒久的な差し止めを命じた。大統領の権限を逸脱しているとし、10日以内に関税を停止するための行政命令を出すようトランプ政権に求めている。政権側は判決を不服として控訴した。最終的に訴訟が連邦最高裁判所で争われる可能性もある。
判決文によると、政権が発動した関税のうち、差し止めの対象となるのは国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく措置。政権が貿易赤字の是正を目的に、ほぼすべての国・地域からの輸入品に課した相互関税のほか、合成麻薬フェンタニルの流入を阻止する名目で導入されたカナダ、メキシコ、中国に対する追加関税が該当する。
国際貿易裁は「米国憲法では、関税などを課して徴収する権限は原則として議会が有する」「IEEPAはこのような際限のない権限を大統領に与えていない」とし、一連の関税措置は無効だと指摘している。