最高裁は10月13日、非正規労働者の待遇改善につながるかも知れない2つの訴訟で、いずれも元非正規労働者の申し立てを退ける判断を示した。元契約社員、アルバイトへのそれぞれ退職金「なし」、賞与「なし」は不合理と認めなかった。
一つは東京メトロ子会社のメトロコマースの元契約社員が退職金の支払いを求めた訴訟の上告審判決。最高裁第3小法廷は会社側が退職金を支給しなかったことが「不合理な待遇格差」には当たらないとの判断を示した。二審・東京高裁は、不支給を不合理な格差だと認定し、正社員の25%の水準の金額を支払うべきだとの判断を示し、今回最高裁の判断が注目されていた。
また、最高裁は同日、別の、4年間フルタイムで大阪医科大学の研究室で秘書のアルバイトをしていた50代の女性の訴訟でも、大学側のアルバイトへの賞与の不支給について「不合理ではない」との判断を示した。
2019年時点で2,165万人に上っている非正規労働者、およびその支援団体・関係者らは、政府が掲げる”働き方改革”のもと、一歩踏み出した新しい最高裁の判断を期待していただけに、失望の声が大きい。