高山右近の領地、茨木で隠れキリシタンの墓発見
キリシタン大名、高山右近の領地だった大阪府茨木市千提寺(せんだいじ)地区の山中で、江戸時代中頃の「隠れキリシタン」を埋葬した墓とみられる遺構が見つかった。近世以前のキリシタンの墓で、現存するものはほとんどなく全国でも珍しいという。
茨木市によると、現場は付近の民家で伝えられてきたキリスト像などを展示する現史料館から約500㍍南の山中。移転に向けて2014年秋に試掘したところ、遺構が15基ほど見つかった。このうち1基を4月から詳しく調べたところ、縦1.7㍍、横0.95㍍、深さ0.7㍍と判明。その形状から、近世まで一般的だった体を折り曲げる「屈葬」ではなく、足を伸ばして埋葬するキリスト教式の「伸展葬」とみられることが分かった。骨の一部も確認された。
一帯は江戸時代の「隠れキリシタン」たちが信仰を守り続けた地として知られ、日本人絵師が描いたとみられる「聖フランシスコ・ザビエル像」(国重要文化財、神戸市立博物館所蔵)も民家で発見された。
大名の身分を、そして領主であることを捨て、ひたすら信仰に生きた一人の人間、高山右近の領地だっただけに、領民の中にもキリスト教への篤い、そして根強い信仰心も生まれやすかったのだろう。