私説 小倉百人一首 No.26 貞信公

貞信公
※藤原忠平

小倉山峰のもみぢばこころあらば
       いまひとたびのみゆき待たなむ

【歌の背景】宇多上皇が大堰川に御幸されて、あまりよい景色なので醍醐天皇(宇多上皇の皇子)も一度行幸されればよいがといわれたので、藤原忠平がこのことを天皇に奏上しましょう-といって詠んだもの。

【歌 意】小倉山峰のもみぢ葉よ、お前の見事な美しさを上皇がめでられ、み子の醍醐天皇にもお見せになりたいといわれたぞ。もしお前にもののわかる心があるならば、天皇の行幸までもみぢ葉の美しさを保って待ってほしいものだ。

【作者のプロフィル】藤原忠平。藤原基経の第四男。母は弾正尹人康親王のむすめ。兄時平の後を継いで藤原氏全盛の基を磐石にした。醍醐天皇の昌泰14年に右大臣、朱雀天皇即位にあたり摂政、承平6年太政大臣、天慶4年関白となり、村上天皇の天暦3年(949)に70歳で没。法性寺に葬られ、貞信公とおくり名された。