低炭素への新しい試み-畑に竹炭を撒きCO2を密封

低炭素への新しい試み-畑に竹炭を撒きCO2を密封

 竹林で間伐した竹を熱して炭をつくり、堆肥に混ぜ農地に撒いて二酸化炭素(CO2)を削減しようとの取り組みがいま進んでいる。作物を育てながら、大気中のCO2を減らす「カーボンマイナスプロジェクト」だ。

 プロジェクトというが、難しい作業や約束事があるわけではない。低炭素、いや正確に表現すれば“減炭素”へのしくみはこうだ。通常、植物は光合成でCO2を吸収するが、そのCO2は植物が枯れて分解すると再び大気中に戻ってしまう。ところが炭にすると、CO2を炭素の形で固定できる。そこで炭を農地に撒けばCO2を土壌中に閉じ込められるというわけだ。

 京都府亀岡市などが2008年から始めたプロジェクトでは、農地1000平方㍍当たり200~300㌔㌘のCO2のマイナスを実現。自動車でガソリン約100㍑を節約するのと同等以上の効果をあげている。これまでにCO2換算で約50㌧を農地に埋めた。

 最も知恵を絞ったのは費用を賄うしくみ。プロジェクトには20軒以上の農家が参加し、炭素を埋めた農地でネギやジャガイモ、小松菜などを栽培。これをブランド化して地場のスーパー2店で販売する。京都銀行や大和ハウス工業などの支援も得て、年間売上高は約1000万円を達成した。取り組みを主導する立命館大学の柴田晃客員教授は「難しい技術は必要ない。途上国でも展開できる」と、この減炭素プロジェクトに意欲的だ。

 竹に続く動きもある。梨の名産地、千葉県柏市では剪定(せんてい)した梨の枝を炭にして農園に撒く試みを進める。新しい梨のブランド価値をつくり、CO2削減にもつなげる。炭は土壌の水分や養分を保ちやすく、全国に広がる可能性があるという。