各地で伝統野菜復権へ様々な動き活発化

 時代とともに忘れられた伝統野菜を復権させようとする動きが活発になっている。青森県八戸市は絶滅の危機にあった「糠塚きゅうり」生産を後押しする取り組みを2月に開始。滋賀県大津市は生産者が減り、いまでは市場にほとんど出回ることがない「近江かぶ」を復活させる取り組みを始めた。山形県や長野県では需要拡大に向けて情報発信を強化する。        
 生産者の高齢化が進み、種存続への危機感が強まっているほか、独自の食文化を観光客誘致など地域おこしの起爆剤にしようとする狙いもある。 
 八戸市役所は糠塚きゅうりについて、「このままでは夏の風物詩が消える」と、生産を担う人材を公募。新たに8人のメンバーを集め生産伝承会を立ち上げた。純粋な種子を守り、培ってきた育てる技術を伝えることが狙いだ。大津市は2013年秋、市が自ら試験栽培用のビニールハウスを設置した。ただ、市が保有する種は別のカブなどと交雑しており、「本来の特徴が現れていない」。そのため、ハウス内で交配を繰り返し、種の純度を高めていくという。これによって、近江かぶを復活させ、大津市の農産物ブランドの目玉にしたいとしている。
 山形県は4月、全国の消費者に県の伝統野菜をPRしようと「食の至宝 雪国やまがた伝統野菜」との統一名称を決定。13年度は24件だった首都圏業者との取引成立件数を16年度には40件に増やす計画だ。
 熊本県は13年度からインターネット通販会社を産地に招き、テスト販売をしてもらう取り組みを始めた。鮮度が落ちやすくても消費者への直送でクリアできることがある。伝統野菜の新しい売り方を構築していきたいという。
 野沢菜など69種類の野菜を伝統野菜に選定している長野県は5月末をメドに、新たに「食」の情報発信や観光への活用法などを検討する協議会を設置する予定だ。