岩倉具視の暗号表、将軍・慶喜の直筆哀訴状など発見

岩倉具視の暗号表、将軍・慶喜の直筆哀訴状など発見
 江戸-明治の本草漢学塾「山本読書室」跡(京都市下京区)の土蔵に、右大臣・岩倉具視が使った暗号表や、最後の徳川十五代将軍・慶喜が官軍に江戸攻撃中止を求めた直筆哀訴状など重要文化財級を含む数万点の史料が、秘蔵されていたことが2月2日、分かった。京都外大の松田清教授(日本洋学史)が約2年半調査、目録を刊行した。重文級は少なくとも数百点で、ほかに菅原道真直筆の可能性が指摘される9世紀の写経もあり、新史実の解明が期待できる一大史料群として注目されそうだ。
 暗号表は紙製で、大小2枚の円盤の周りにそれぞれカタカナが書いてある。直径約10㌢の小さい方の円盤を回して文字を変換するしくみ。東京の岩倉が大阪の大久保利通らと電報や暗号表など最新技術を駆使して交わした秘密通信文61通もあった。慶喜の哀訴状は、時代が江戸から明治へ移った1868年、江戸攻撃が8日後に迫った3月7日に官軍に届けられた。当時、回覧のため筆写されていたが、直筆は初めて。山本読書室は本草学(博物学)の西日本の拠点で、医学や儒学なども教えていた。