私説 小倉百人一首 No.47 恵慶法師

恵慶法師

八重むぐらしげれる宿の寂しきに
       人こそ見えね秋は来にけり

【歌の背景】かつて風流人、左大臣源融が住んでいた河原院。そこが後に荒廃した。そんな河原院に人々が集まって、荒れた宿に秋が来たという趣向で各自歌を詠んだ時の作品。

【歌 意】雑草が生い茂っている家は、すっかり荒れ果て限りなく寂しい。こんな寂しいところへは人こそ訪れてこないが、それでも秋だけはやってきたことだ。

【作者のプロフィル】出自も生没年も不明。花山天皇の寛和(985~986)ごろの人。貴顕・権門に出入りし、平兼盛、源重之らと交友があったらしい。歌人としても一流で、正統的な作風。